と、
ジゲンだけに、言えたらな、と思っていたら、
思いがけず、ジゲンを含む何人かとの見に行くことになって、
思いがけず、帰りに少し、ふたりきりになって、

別れ際に、言えたんだ。
メリークリスマス!って。

言うことができたから、
今日はメールは我慢しようと思ってたら、

着た。

 メリークリスマス!です。

って。

返信してから、メールを見直したら、
それは、見慣れないアドレスからだった。

ジゲンの、個人携帯のアドレス。

どうしよう、と思った。
会社携帯の電池がなくなっただけかもしれない。
でも。
でも。
でも。
って。

思い切った。

実はあたし、個人携帯の方がメールしやすいんです。
よかったら登録してくださいって。

返事をした。

実は僕もそうなんですって、
個人携帯に、個人携帯から、メールが着た。

クリスマスプレゼントみたいに。



ずいぶん前。

何人かで、携帯のアドレス登録数を競った時、
プライベートと会社は完全に分けてる、というジゲンの携帯には、
たったの67人しか登録されてなくて。

だからなんだか、
ジゲンの携帯は、神聖なものだった。
いつか68人目になれたらいいなって、
ずっと、こっそり、思ってた。

しばらくの間に、登録人数はちょっと増えてて、
登録されたのは、70番。

70人。

たったの70人の中の、ひとり。

うれしい。



近づきたいけど、近づくもんかって、
ずっと思ってきたのに。

また少し近づいて、
きっとまた少し、苦しくなる。

だけどうれしかったんだ。

メリークリスマス。

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