書けばいいんだろうな。
何を書けばいいんだろうな。
不思議な感覚で目が覚めた。
世界が、まあるくなった感じ。
こころが、まったいらになった感じ。
こんな気持ちに、自分がなるんだなんて、
知らなかった。
恋がはじまったばかりなのに、
穏やかで、穏やかで。
好きー!ってのとは、ちょっと違う。
いとおしいなあって、思うんだ。
この人がいてくれれば、あたしはだいじょうぶだって、
そんな気持ちにさせてくれる人だ。
ジゲン。
出会えてよかった。
*
言葉を生業にしている人だからか、
ジゲンは、ちょっとくさい。
あったかい言葉に、
あったかい言葉を返したいのに、
あたしは恥ずかしくて、つい怒ってるような物言いになってしまう。
何怒ってるんですかー、って、ジゲンが笑う。
怒ってないですもん!って言うと、
怒ってますようって、ジゲンが笑う。
あたたかい人だ。
*
ジゲンが隣の席に移ってきてからも、
しばらくは、あまり話をしなかった。
避けていた。
ボーイが怖いから。
30の誕生日、
たくさんの人が、祝ってくれて、
もう、あの子から卒業しようって、素直に思えて、
その頃から、ジゲンともよく話をするようになった。
いろんなことに気づいた。
ああ、この人は、本当はすごくあたたかいひとだなあって。
世の中に、壁を張っているように見えるのに、
ほんとうは、あたたかいものがとても好きで、
人を、傷つける言葉を、丁寧に避ける、そんな人だなあって。
気になっていた。
だけど、そんなことは許されまい、と思っていた。
なのに、
少しずつ、少しずつ、距離が縮まっていって。
大きな仕事を一緒にすることになった。
あたしは、全体を指揮するように言われ、
だけど、ずっと仕事に甘んじてたあたしにとって、
その仕事は現実だった。
無理を、してもしても追いつかない。そんな中で、
ジゲンは、ものすごく絶妙に、救いの手をくれた。
弱いところを、見せざるをえなかった。
弱いところを、ぜんぶ受け止めてくれた。
いや、弱いところを、見せさせてくれたのだ。
泣きたい時に、ほんとその時に、言葉を投げかけてくれる。
メールをくれる。電話をくれる。
どれだけ抵抗しても、こころがどんどんほどけていく。
まだ好きじゃない、好きじゃないって、自己暗示みたいに繰り返しながら、
多くは望まないから、でも、甘えていたいって、
このくらい、甘えていても、バチはあたらないかなって、
そんな日々だった。
ジゲンもあたしに甘えていることは、知っていた。
あたしまだ、ここに書いてなかったかな、
彼は夏頃に、とても長く付き合っていた恋人と、別れたのだ。
それはちょっと酷い失恋の仕方で、
見てられないくらい、彼が傷ついているのが、
隣にいると、痛いほど伝わってきた。
深い傷は、受け止められない傷は、
そんなに簡単には癒えないものだと、あたしは知っていて。
だから、
たとえ、ジゲンがあたしに救われていたとしても、
そのことと、恋とは、ちょっと違うって、わかっていた。
踏み込もうとすれば、きっと戸惑う。
あたしだったら、戸惑う。踏み出さない。
だからあたしも、踏み込んでは行けない。
傷つきたくないから、自分もって、
そう思っていたんだ。
何を書けばいいんだろうな。
不思議な感覚で目が覚めた。
世界が、まあるくなった感じ。
こころが、まったいらになった感じ。
こんな気持ちに、自分がなるんだなんて、
知らなかった。
恋がはじまったばかりなのに、
穏やかで、穏やかで。
好きー!ってのとは、ちょっと違う。
いとおしいなあって、思うんだ。
この人がいてくれれば、あたしはだいじょうぶだって、
そんな気持ちにさせてくれる人だ。
ジゲン。
出会えてよかった。
*
言葉を生業にしている人だからか、
ジゲンは、ちょっとくさい。
あったかい言葉に、
あったかい言葉を返したいのに、
あたしは恥ずかしくて、つい怒ってるような物言いになってしまう。
何怒ってるんですかー、って、ジゲンが笑う。
怒ってないですもん!って言うと、
怒ってますようって、ジゲンが笑う。
あたたかい人だ。
*
ジゲンが隣の席に移ってきてからも、
しばらくは、あまり話をしなかった。
避けていた。
ボーイが怖いから。
30の誕生日、
たくさんの人が、祝ってくれて、
もう、あの子から卒業しようって、素直に思えて、
その頃から、ジゲンともよく話をするようになった。
いろんなことに気づいた。
ああ、この人は、本当はすごくあたたかいひとだなあって。
世の中に、壁を張っているように見えるのに、
ほんとうは、あたたかいものがとても好きで、
人を、傷つける言葉を、丁寧に避ける、そんな人だなあって。
気になっていた。
だけど、そんなことは許されまい、と思っていた。
なのに、
少しずつ、少しずつ、距離が縮まっていって。
大きな仕事を一緒にすることになった。
あたしは、全体を指揮するように言われ、
だけど、ずっと仕事に甘んじてたあたしにとって、
その仕事は現実だった。
無理を、してもしても追いつかない。そんな中で、
ジゲンは、ものすごく絶妙に、救いの手をくれた。
弱いところを、見せざるをえなかった。
弱いところを、ぜんぶ受け止めてくれた。
いや、弱いところを、見せさせてくれたのだ。
泣きたい時に、ほんとその時に、言葉を投げかけてくれる。
メールをくれる。電話をくれる。
どれだけ抵抗しても、こころがどんどんほどけていく。
まだ好きじゃない、好きじゃないって、自己暗示みたいに繰り返しながら、
多くは望まないから、でも、甘えていたいって、
このくらい、甘えていても、バチはあたらないかなって、
そんな日々だった。
ジゲンもあたしに甘えていることは、知っていた。
あたしまだ、ここに書いてなかったかな、
彼は夏頃に、とても長く付き合っていた恋人と、別れたのだ。
それはちょっと酷い失恋の仕方で、
見てられないくらい、彼が傷ついているのが、
隣にいると、痛いほど伝わってきた。
深い傷は、受け止められない傷は、
そんなに簡単には癒えないものだと、あたしは知っていて。
だから、
たとえ、ジゲンがあたしに救われていたとしても、
そのことと、恋とは、ちょっと違うって、わかっていた。
踏み込もうとすれば、きっと戸惑う。
あたしだったら、戸惑う。踏み出さない。
だからあたしも、踏み込んでは行けない。
傷つきたくないから、自分もって、
そう思っていたんだ。
コメント