電話をかけてきたジゲンは、
あたふたしていた。
夕方の「ね。」についての誤解を、一生懸命とこうとしていた。
あたふたしながら、ぽろっと言った。
惹かれてます。って、言った。
言ってしまったから肝が据わったのか、
ゆっくり、気持ちを話してくれた。
あたしに甘えていたこと。助けられていたこと。
やさしくされると、戸惑っていたこと。
一緒に仕事をするのが、とても楽しかったこと。
あたしと話したり、メールをしていると、
すごく優しい気持ちになること。
いとおしいなあ、と思うこと。
だけど、いろんな難しいことが頭をよぎって、
ずっと自分を制していたこと。
元彼女のことは、もうない、と思っているけれど、
相手からは、今もちょくちょく爆弾が落ちてきて、たまに混乱すること。
(いきなり家におしかけてきたりするらしい)
同じ会社であること。隣の席であること。周りの人のこと。
・・・黙って聞いていた。
ああ、あたしは話さねばならないな。と思った。
ボーイのことを。
*
正直な話をして、いいですか?
と切り出した。
あたし、
ジゲンに話していないことがあります。
もし、その話を聞いて、嫌な気分になったら、
言ってください。
そうしたらあたし、さっきの話、ぜんぶ忘れますから。
忘れて、来週から、ちゃんと普通に同僚に戻るから。
言ったら、ぜんぶなくなっちゃう、と思ったら、
身体が震えた。
実は、あたし、前にも社内恋愛をしていました。
ジゲンは驚いた。
その人は、まだ、いらっしゃいますか?
まだ、いらっしゃいます。と答えた。
*
どん引きされるかと思ったのだ。
もしくは、葛藤するかと思ったのだ。
たとえ受け入れてくれたとしても、
過去なんて関係ない、とか、乗り越えられます、とか、
そんなありきたりな答えしか、想像できなかったのだ。
なのにジゲンは、聞いたのだ。
ジョージさんは、その人のこと、
真剣に好きだったんですか?
即答した。
真剣に、好きでした。
そうしたら、言ったんだ。
それなら、だいじょうぶです。
って。
ジゲンにとって大切なことは、
それが、あたしにとって、真剣な、本気の恋であったことだけだった。
あたしが、
軽い気持ちや遊びで付き合うような人間だったってことなら話は別だけど、
そうじゃないから、だいじょうぶですって。
人なんて、いつどこで、誰を好きになるかなんてわからないからって。
あたしの想像なんて、遥かに越えた答えだったんだ。
感動してしまった。
感動してしまって、嬉しくて泣いた。
*
次の日の夜。
改めていろんなことを話した。
社内恋愛の話は、すごく驚いたって。
まったく知らなかったから、逆に、よく隠してたなあと感心したと・・・。
ジゲンは、相手が誰か、聞かないんですね。
って言ったら、
また、あたたかいことばが帰ってきた。
ジョージさんに任せます。
言いたくなければ、言わなくていいし、
言ってすっきりするのなら、言ってくださいね。
なんてひとだ。
ぜんぜん違うのに。
ボーイのことは、全部あたしが、自分で選んで、望んだ道なんだ。
だから、そのことでどれだけ苦しい想いをしようと、
自業自得なんだ。仕方のないことなんだ。
あたしが嫌なのは、
相手が誰だろうって勘ぐったり、
もしくは知ってしまったことによって、
ジゲンが苦しんだり、嫌な想いをすることだけなんだ。
だから、一番、そうならない方法をとりたいんだ
あたしのことじゃなくて。
想いをぶつけた。
ジゲンはちょっと考えて、
また、
だいじょうぶです。
と言った。
あたしは、ボーイの名前は、言わなかった。
あたふたしていた。
夕方の「ね。」についての誤解を、一生懸命とこうとしていた。
あたふたしながら、ぽろっと言った。
惹かれてます。って、言った。
言ってしまったから肝が据わったのか、
ゆっくり、気持ちを話してくれた。
あたしに甘えていたこと。助けられていたこと。
やさしくされると、戸惑っていたこと。
一緒に仕事をするのが、とても楽しかったこと。
あたしと話したり、メールをしていると、
すごく優しい気持ちになること。
いとおしいなあ、と思うこと。
だけど、いろんな難しいことが頭をよぎって、
ずっと自分を制していたこと。
元彼女のことは、もうない、と思っているけれど、
相手からは、今もちょくちょく爆弾が落ちてきて、たまに混乱すること。
(いきなり家におしかけてきたりするらしい)
同じ会社であること。隣の席であること。周りの人のこと。
・・・黙って聞いていた。
ああ、あたしは話さねばならないな。と思った。
ボーイのことを。
*
正直な話をして、いいですか?
と切り出した。
あたし、
ジゲンに話していないことがあります。
もし、その話を聞いて、嫌な気分になったら、
言ってください。
そうしたらあたし、さっきの話、ぜんぶ忘れますから。
忘れて、来週から、ちゃんと普通に同僚に戻るから。
言ったら、ぜんぶなくなっちゃう、と思ったら、
身体が震えた。
実は、あたし、前にも社内恋愛をしていました。
ジゲンは驚いた。
その人は、まだ、いらっしゃいますか?
まだ、いらっしゃいます。と答えた。
*
どん引きされるかと思ったのだ。
もしくは、葛藤するかと思ったのだ。
たとえ受け入れてくれたとしても、
過去なんて関係ない、とか、乗り越えられます、とか、
そんなありきたりな答えしか、想像できなかったのだ。
なのにジゲンは、聞いたのだ。
ジョージさんは、その人のこと、
真剣に好きだったんですか?
即答した。
真剣に、好きでした。
そうしたら、言ったんだ。
それなら、だいじょうぶです。
って。
ジゲンにとって大切なことは、
それが、あたしにとって、真剣な、本気の恋であったことだけだった。
あたしが、
軽い気持ちや遊びで付き合うような人間だったってことなら話は別だけど、
そうじゃないから、だいじょうぶですって。
人なんて、いつどこで、誰を好きになるかなんてわからないからって。
あたしの想像なんて、遥かに越えた答えだったんだ。
感動してしまった。
感動してしまって、嬉しくて泣いた。
*
次の日の夜。
改めていろんなことを話した。
社内恋愛の話は、すごく驚いたって。
まったく知らなかったから、逆に、よく隠してたなあと感心したと・・・。
ジゲンは、相手が誰か、聞かないんですね。
って言ったら、
また、あたたかいことばが帰ってきた。
ジョージさんに任せます。
言いたくなければ、言わなくていいし、
言ってすっきりするのなら、言ってくださいね。
なんてひとだ。
ぜんぜん違うのに。
ボーイのことは、全部あたしが、自分で選んで、望んだ道なんだ。
だから、そのことでどれだけ苦しい想いをしようと、
自業自得なんだ。仕方のないことなんだ。
あたしが嫌なのは、
相手が誰だろうって勘ぐったり、
もしくは知ってしまったことによって、
ジゲンが苦しんだり、嫌な想いをすることだけなんだ。
だから、一番、そうならない方法をとりたいんだ
あたしのことじゃなくて。
想いをぶつけた。
ジゲンはちょっと考えて、
また、
だいじょうぶです。
と言った。
あたしは、ボーイの名前は、言わなかった。
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