あったみたいだ。
ジゲンとボーイの間に。
あたしたちは、難しいね。
強がったり、何もないふりができない。
あの人の前では、
嘘も何もない、ただのあたしでいたいと思う。
だから、
元気じゃない時に、元気なふりをすると、こころが痛む。
嘘をついているような気持ちになるんだ。
たぶん向こうだって一緒だろう。
だから、
きちんと、嘘がつけない。
それをごまかしたり、
気にしないふりもできない。
100と100の関係。
それは、とてもすばらしいけれど、
本当は、
あまりに繊細すぎる気がして、
その脆さから、つい目を逸らしたくなるんだ。
*
何があったのかを聞こうとしたら、
ジゲンが、一瞬、取り乱したのがわかった。
電話を切って、少ししてからメールで、
ごめんね。取り乱した。と謝られた。
自分の中のドロドロしたものを、
あたしには見せたくないのだと。
ちょっと待って欲しいと言われて、
そのまま、今日はずっと、ジゲンを待ってる。
ねえ淋しいよう。
声が聞きたい。
油断すると、電話してしまいそうだ。
でも、それが自分勝手なことは知ってる。
だから、我慢している。
我慢することが正しいのかどうかすら、本当はよくわからないのに。
あたしは怖い。
ジゲンとの間にだけ流れている、
あの、極上の空気が壊れてしまうことが、何より怖い。
すごいところにたどり着いた。そう思う。
だけど、あたしは、あたしたちの脆さが、ものすごく怖い。
ジゲンとの恋は、あまりにすばらしすぎて、
ずっと、夢の中にみるみたいなんだ。
夢じゃなくて、現実にしたいのに。
*
こないだ。
少し、不穏な空気になったとき。
不安定の最中で、あたしはつい、言いかけた。
言いかけて、口をつぐんだ。
だって、あんな時に、吐き出すように出す言葉に、
きっといいことなんか起きない。
だけど、
吐き出せなかった言葉は、
本当は、いつも、こころの中にある。
*
あたしは、ジゲンが思ってるよりずっとわがままだよ?
だって、今だけじゃないもん。
あたしは、
ジゲンの、過去も、今も、未来も、全部欲しい。
いつも、あたしといる未来を思い浮かべて欲しい。
ずっと一緒にいようねって、言って欲しい。
思い出す過去は、あたしの笑顔であって欲しい。
あなたがたくさん大切に想って、たくさん傷ついたあの人の顔じゃなくて、
あたしの笑顔であって欲しい。
あたしといる、一生いる人生に、自信を持っていて欲しい。
そのことがあたしの自信になることに、
どうか気づいて欲しい。
*
一番奥にある、一番わがままな気持ちは、どうしても言えない。
壊れるのが怖くて、どうしても言えない。
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