勇気を出して電話した。
どうしても伝えなくちゃって思った。
4日ぶりに聞くジゲンの声。
ジゲンは何事もなかったかのように出て、
明るく、ひたすら何でもない話をした。
だけど、敬語で、あたしのことを名字で呼ぶその声は、
やっぱり、とても冷たい、高い壁だった。
そのまま、
おやすみーって切ろうとするジゲンに、
何度も深呼吸をしてから、言った。
*
全部のジゲンが、とても好きです。
それを伝えたくて電話しました。
*
ずっとずっと苦しくて、胸がつぶれそうだった。
泣いてばかりで、逃げ出したくなくなって、
過去はいつまで、あたしを追いかけてくるんだろうって、
そんなことばかり考えていた。
だけどこのままじゃいけない、と思った。
何か、大切なことを見失っている気がした。
ジゲンとの日々を、全て読み返した。
あたしはようやく気づいた。
ジゲンが前に言ってくれたんだ。
僕たちは2人とも、
すぐに混乱して、どうしたらいいかわからなくなったりしちゃうけど、
だけど、これからは、
どうしたらいいかわからなくたって、迷っていたって、
混乱していることだけは、ちゃんと伝えることにしませんかって。
嘘のつけない僕たちの関係だから、そうしませんかって。
混乱しているジゲンも、どうしたらいいかわからないジゲンも、
全部あたしの、大切なジゲンなのに。
あたしは、話があたしとのことに及んでしまうと、
とたんに恐怖に負けてしまうのだ。
いなくなることへの不安に、覆われてしまう。
あの人の不安を、包めなくなる。
自分の不安をジゲンにぶつけてしまう。
最低だ。
ジゲンが傷ついているのは、
ボーイのことじゃないんだ。
あたしが、あの人の弱さを受け止めてあげられない、その事実だ。
あたしはいつも、
気づくのが遅い。
*
でも、
僕が、不安になったり、弱さをみせたりすると、
すぐに弱いジョージや、冷たいジョージが出てくるよ?
ジョージの前では、
不安になったりしちゃいけないんだ。
*
ジゲンの弱さをちゃんと受け止めることのできる、
そんな強さを、大きさを持った彼女になりたい。
あたしの臆病は、なかなか治らない。
ジゲンがいなくなったらって恐怖にすぐに負けてしまって、
もう何回も、同じように、あの人を傷つけた。
すぐには無理かもしれない。
だけど、少しずつでも、そんな強さを持ちたいんだ。
あなたとちゃんと向き合えるあたしになりたいんだ。
自信を持って、
大丈夫だよって、飛び込んできていいよーって言えるあたしになるまで、
もう少しだけ、待っていて欲しいんだ。
そんな想いを、
ゆっくりと伝えた。
ジゲンはしばらく黙ってから、
小さな声で、少し待って欲しい、と言った。
*
切る間際に、
ジゲンが、ぼそりと言った。
何も考えずに、ジョージの胸に飛び込めたらって、
ずっと思ってるんだよ。
何も考えずに、ジョージの胸に飛び込みたい。
きっと、もうずっと前から、
あの人はあたしに飛び込めなくなっていたんだ。
あたしは気づいていた。
なのに、それでも強さを持てずにいた。
ジゲン。
ごめんなさい。
あなたは、あんなにいつも、
大丈夫だよって、言い続けてくれているのに、
あたしはなかなか自分に勝てない。
だけど、
守ってもらうだけじゃない。
あなたを守りたい。
胸をはって、
大丈夫だよーって、飛び込んでいいよーって、
そう言える日まで。
ジゲン、お願い。
時間をください。
ジゲン、どうか。
あたしと向き合うことを、
あきらめないで。
*
最後のひとことは、とても寂しかったけど、
だけどあの時、あの人はあたしを、ジョージと言った。
今週はじめて、名前で呼んだ。
ジョージ、というあの人の声を、
あたしは信じる。
信じる。
どうしても伝えなくちゃって思った。
4日ぶりに聞くジゲンの声。
ジゲンは何事もなかったかのように出て、
明るく、ひたすら何でもない話をした。
だけど、敬語で、あたしのことを名字で呼ぶその声は、
やっぱり、とても冷たい、高い壁だった。
そのまま、
おやすみーって切ろうとするジゲンに、
何度も深呼吸をしてから、言った。
*
全部のジゲンが、とても好きです。
それを伝えたくて電話しました。
*
ずっとずっと苦しくて、胸がつぶれそうだった。
泣いてばかりで、逃げ出したくなくなって、
過去はいつまで、あたしを追いかけてくるんだろうって、
そんなことばかり考えていた。
だけどこのままじゃいけない、と思った。
何か、大切なことを見失っている気がした。
ジゲンとの日々を、全て読み返した。
あたしはようやく気づいた。
ジゲンが前に言ってくれたんだ。
僕たちは2人とも、
すぐに混乱して、どうしたらいいかわからなくなったりしちゃうけど、
だけど、これからは、
どうしたらいいかわからなくたって、迷っていたって、
混乱していることだけは、ちゃんと伝えることにしませんかって。
嘘のつけない僕たちの関係だから、そうしませんかって。
混乱しているジゲンも、どうしたらいいかわからないジゲンも、
全部あたしの、大切なジゲンなのに。
あたしは、話があたしとのことに及んでしまうと、
とたんに恐怖に負けてしまうのだ。
いなくなることへの不安に、覆われてしまう。
あの人の不安を、包めなくなる。
自分の不安をジゲンにぶつけてしまう。
最低だ。
ジゲンが傷ついているのは、
ボーイのことじゃないんだ。
あたしが、あの人の弱さを受け止めてあげられない、その事実だ。
あたしはいつも、
気づくのが遅い。
*
でも、
僕が、不安になったり、弱さをみせたりすると、
すぐに弱いジョージや、冷たいジョージが出てくるよ?
ジョージの前では、
不安になったりしちゃいけないんだ。
*
ジゲンの弱さをちゃんと受け止めることのできる、
そんな強さを、大きさを持った彼女になりたい。
あたしの臆病は、なかなか治らない。
ジゲンがいなくなったらって恐怖にすぐに負けてしまって、
もう何回も、同じように、あの人を傷つけた。
すぐには無理かもしれない。
だけど、少しずつでも、そんな強さを持ちたいんだ。
あなたとちゃんと向き合えるあたしになりたいんだ。
自信を持って、
大丈夫だよって、飛び込んできていいよーって言えるあたしになるまで、
もう少しだけ、待っていて欲しいんだ。
そんな想いを、
ゆっくりと伝えた。
ジゲンはしばらく黙ってから、
小さな声で、少し待って欲しい、と言った。
*
切る間際に、
ジゲンが、ぼそりと言った。
何も考えずに、ジョージの胸に飛び込めたらって、
ずっと思ってるんだよ。
何も考えずに、ジョージの胸に飛び込みたい。
きっと、もうずっと前から、
あの人はあたしに飛び込めなくなっていたんだ。
あたしは気づいていた。
なのに、それでも強さを持てずにいた。
ジゲン。
ごめんなさい。
あなたは、あんなにいつも、
大丈夫だよって、言い続けてくれているのに、
あたしはなかなか自分に勝てない。
だけど、
守ってもらうだけじゃない。
あなたを守りたい。
胸をはって、
大丈夫だよーって、飛び込んでいいよーって、
そう言える日まで。
ジゲン、お願い。
時間をください。
ジゲン、どうか。
あたしと向き合うことを、
あきらめないで。
*
最後のひとことは、とても寂しかったけど、
だけどあの時、あの人はあたしを、ジョージと言った。
今週はじめて、名前で呼んだ。
ジョージ、というあの人の声を、
あたしは信じる。
信じる。
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