ジョージ。

2010年8月7日 日常
勇気を出して電話した。
どうしても伝えなくちゃって思った。
4日ぶりに聞くジゲンの声。

ジゲンは何事もなかったかのように出て、
明るく、ひたすら何でもない話をした。
だけど、敬語で、あたしのことを名字で呼ぶその声は、
やっぱり、とても冷たい、高い壁だった。

そのまま、
おやすみーって切ろうとするジゲンに、
何度も深呼吸をしてから、言った。



全部のジゲンが、とても好きです。

それを伝えたくて電話しました。



ずっとずっと苦しくて、胸がつぶれそうだった。
泣いてばかりで、逃げ出したくなくなって、
過去はいつまで、あたしを追いかけてくるんだろうって、
そんなことばかり考えていた。

だけどこのままじゃいけない、と思った。
何か、大切なことを見失っている気がした。
ジゲンとの日々を、全て読み返した。
あたしはようやく気づいた。

ジゲンが前に言ってくれたんだ。
僕たちは2人とも、
すぐに混乱して、どうしたらいいかわからなくなったりしちゃうけど、
だけど、これからは、
どうしたらいいかわからなくたって、迷っていたって、
混乱していることだけは、ちゃんと伝えることにしませんかって。
嘘のつけない僕たちの関係だから、そうしませんかって。

混乱しているジゲンも、どうしたらいいかわからないジゲンも、
全部あたしの、大切なジゲンなのに。
あたしは、話があたしとのことに及んでしまうと、
とたんに恐怖に負けてしまうのだ。
いなくなることへの不安に、覆われてしまう。
あの人の不安を、包めなくなる。
自分の不安をジゲンにぶつけてしまう。

最低だ。

ジゲンが傷ついているのは、
ボーイのことじゃないんだ。
あたしが、あの人の弱さを受け止めてあげられない、その事実だ。

あたしはいつも、
気づくのが遅い。



   でも、
   僕が、不安になったり、弱さをみせたりすると、
   すぐに弱いジョージや、冷たいジョージが出てくるよ?

   ジョージの前では、
   不安になったりしちゃいけないんだ。



ジゲンの弱さをちゃんと受け止めることのできる、
そんな強さを、大きさを持った彼女になりたい。

あたしの臆病は、なかなか治らない。
ジゲンがいなくなったらって恐怖にすぐに負けてしまって、
もう何回も、同じように、あの人を傷つけた。

すぐには無理かもしれない。
だけど、少しずつでも、そんな強さを持ちたいんだ。
あなたとちゃんと向き合えるあたしになりたいんだ。

自信を持って、
大丈夫だよって、飛び込んできていいよーって言えるあたしになるまで、
もう少しだけ、待っていて欲しいんだ。

そんな想いを、
ゆっくりと伝えた。

ジゲンはしばらく黙ってから、
小さな声で、少し待って欲しい、と言った。



切る間際に、
ジゲンが、ぼそりと言った。

   何も考えずに、ジョージの胸に飛び込めたらって、
   ずっと思ってるんだよ。
   何も考えずに、ジョージの胸に飛び込みたい。

きっと、もうずっと前から、
あの人はあたしに飛び込めなくなっていたんだ。

あたしは気づいていた。
なのに、それでも強さを持てずにいた。

ジゲン。

ごめんなさい。

あなたは、あんなにいつも、
大丈夫だよって、言い続けてくれているのに、
あたしはなかなか自分に勝てない。

だけど、
守ってもらうだけじゃない。
あなたを守りたい。

胸をはって、
大丈夫だよーって、飛び込んでいいよーって、
そう言える日まで。

ジゲン、お願い。
時間をください。

ジゲン、どうか。

あたしと向き合うことを、
あきらめないで。



最後のひとことは、とても寂しかったけど、
だけどあの時、あの人はあたしを、ジョージと言った。

今週はじめて、名前で呼んだ。

ジョージ、というあの人の声を、
あたしは信じる。

信じる。

 

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