するタイミングが、ふと訪れた。
思いがけないタイミングで。



娘と息子がリビングでTVに夢中になっているその時。
ジゲンは寝室で布団にシーツをかけていて、
そこをちょろちょろする1歳は明らかにうんち臭くて、
そんな状況ではあったけれど、
ふと話がはじまって、
ジゲンは逃げたそうだったけれど、
今を逃してはならない、と思った。直感で。今ならいける、と。
おしりがかぶれないかな、ごめんね1歳、と思いつつ。
でも逃してはならない、と思った。



前回の日記を書いた後、
そのまま昔の日記を読み返し始めて、
10年ほど前、まだ付き合って1年ほどのころに、
大きなケンカしたときのことを鮮明に思い出した。

あ、同じだ、
と思って。

そうか、
ジゲンは、こうゆうことをする人だった、と気づいて。

その翌日に、
日記を読んだ友が心配して連絡をくれた。

友と会話をするうちに、
自分の本音が、さらに胸の奥から出てきた。

そしたら、
頭のモヤが、少しずつ取れていって。

自分が、何が辛くて、何が悲しくて、何を許せないのか、
どうしたいのか、どうありたいのか、

想いが、少しずつ、凝縮されていったこの数日。

そして今日。

こども達がやたらと、
笑わずにはいられないおバカなことを連発する日で、
ちょっと気持ちが和らいでいて。
ジゲンにも同じ空気があって。

そして訪れたあのタイミングだったから。
逃してはならない、と思った。



心が折れた。
と伝えたら、ジゲンは悲しそうに、
そうか、折れちゃったか…と頷いた。

もう完全に、
しあわせを信じていない頃と同じ、ジゲンの顔。

昔のあのケンカを覚えている?
あの時と同じことをしてない?
一人だけで悩んで、迷って、諦めて、決めて、
私がどんな人間で何を考えているかも勝手に想像して決めて。
同じことしてない?

と聞いたら、
ちょっと驚いて、
それから、「…してる。」と答えた。

でもさ、
この家族は、
ジゲンが一人でその在り方を決めてよいものなんかじゃ、全然ないから。

この家族は、
私たち二人が出会って生まれて、
娘と、息子と、1歳が産まれてきてくれて、こんなすごいものになったわけで、
私たち全員のものだ。

私はずっと苦しいし、
こども達は、ちゃんと何かを感じている。

ジゲンが一人で決めてよいものなんかじゃない。

そこまで話したら、
ようやく、
ジゲンが、心の中を、吐き出しはじめた。


だって!
こんなこと、考えたくもないし、言いたくもないじゃん。
結婚して、こども3人も産まれて、
何も疑ってないし、これから何か起こるとも思ってない。
だけど、それでも、
見たくないもの見てしまったら、どうしても考えてしまうじゃん。
だけど、
ジョージは仕事も、会社も好きなんだろうなあと思うし、
仕事だから得られる人生のやりがいがあるってこともわかるし、
人の人生のことを、無理やりどうにかしようとも考えられないし、
こども3人もいて、経済的な問題も大いにあることもわかってるし、
これはもう、定年まであと10年?15年、耐えるしかないのかなとか、
でもしんどいなあとか、
ずっといろいろ考えてたよ!

って。

ああ。

この人は。
こうゆう人だったのだ。

私、間違ってた。

結婚してこどももできて、
そりゃ死にかけたり色々ありまくったけれど、
愛情、という面ではずっと満たされいたから、
この人のこうゆうところも、
なくなりはしないだろうけど、薄れたのでは、
と、
多分私は、都合の良い解釈をしていた。

だけど、

ジゲンなのだ。

不幸を受け入れて生きようとする人なのだ。この人は。

私はなんで忘れていたんだろう。



だけど。

ようやく引き出せたジゲンの声は、
おそらく私の人生に、大きな変化を強いるだろうものだったけれど。

でもずっと欲しかった答えがある気がしたのだ。

だから、もう、
ぶつけた。
その答えを確認しないと、
何も進められないから。

こんな時になんだけど、
前向きなこと言っていい?
その辛さはつまり、
私のことをものすごく好きだからこその辛さってこと?

「…そう。」

ちょっとしてから、
ジゲンは頷いて。

私は、
半年ぶりに少しほっとして。泣いた。

それから無性に腹が立ってきて、

それが大事なんだよ!
それがわからないと何も変わらないんだよ!

と、
布団を投げつけた。



そこまで。

リビングからこども達が呼ぶ声がして、
訪れたタイミングは、また中途半端に終わりを迎えた。

けれど、

大丈夫、と思えたよ。

だって知りたかったことを知れたから。

いつぶりだろう、
ジゲンの本当の声。

今日の、涙を浮かべて想いを吐き出すあの人の声を、
忘れてはいけない、と思った。



そのあと、また、洗面所で二人になった時に、

私がこの数か月、何考えてたかわかる?
ジゲンが、苦しいあまり、私への気持ち自体を無理やりなくして、
愛がない仮面夫婦になろうとしてるんじゃないかってことだよ。
それがもう、ずっと不安で、苦しくて。
・・・てか、ちょっと図星でしょ。

と聞いたら、

ジゲンは、ばつが悪そうに、
「まあ…、基本、受け入れるタイプだからさ…。」

と、
あろうことが肯定したのである。

信じられない。

ほんと、大変な夫だわ。

もしこのまま、
混乱したまま、苦しいまま、タイミングを逃し続けていたら、
私は本当に、失っていたのかもしれないと、

背筋が凍った。



って、

引き続き記憶のままの吐露。
だけど記しておきたくて。

ここがあってよかったから。

って、
昔は度々、そう書いてた気がするけれど、
こうゆうことだったんだよなあ。

私には多分、
書くこと。
書き留めておくこと。
必要なことなんだろう。
大切なものを感情で、勢いで、失わないために、
必要なことなんだろう。

ここがあってよかった。

まだ解決はしてないけどさ。
結婚して多分はじめての、終わりを見た危機の、大きな山を、
超えられたような気がしている。

今日の気持ちを、
ジゲンの想いを、
わすれないように。

ここがあってよかった。
    
  
  


コメント

ななお
2021年11月30日21:36

こんにちは!
もう年に何回も書くか書かないかの場所なのに、
何かあったら私もここを思い出します。
ここがあってよかったーって、私も思います!

ジョージ
2021年12月27日13:23

わ、コメント気づくの遅くなりすみませんー!
ほんとに、なんだろなぁ。なんども救われています。ここに。

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索